某有名観光地の、某有名あんみつ屋をひとりで訪ねた時のこと。
その店は、あんみつ屋というか、いわゆる甘味処で、
おぜんざい、パフェ、小倉トーストなどを提供していました。
昔ながらの、とてもちっちゃな店で、テーブルは、2人掛けが4台と、4人掛けが1台のみ。
ちょうどお昼時だったので、そんなに混まないと思ったのですが、予想に反して次から次へとお客がやって来ます。
店のホールを取り仕切るお姉さんが、訪れる客たちを、それはそれはシャキシャキと、空いたテーブルに割り当てて行きます。
空いた2人掛けテーブルをお姉さんが片付けている最中に、
2人組の女性客が来店。
4人掛けの席に座ろうとしました。
するとお姉さんは「こっち片付けるまで待っててください!」と、すかさず制止。
ここまで客に清々しくモノが言えるなんてかっこいいです。私も見習いたい。
観光地のど真ん中なので、こんな小さなスペースとはいえ、家賃がものすごく高いのでしょう。
お姉さんの華麗な客さばきに惚れ惚れしていると、
大学生とおぼしきカップルが来店しました。
大学生カップルは、近隣の店で購入した飲みかけのレモネードのカップを持っていました。
店のお姉さんは、そのレモネードを見てズバッと「他店のゴミは、必ずお持ち帰りください。」と牽制。
姉さん、さすがです。
席に着いたカップルは、メニューを見ながら、持ち込んだレモネードを飲み始めました。
姉さんはここで、「持ち込みの飲食はご遠慮ください。」と指摘。
そうだね。そのとおりだね。まぁ、彼らもうっかり無意識に飲んじゃったのかもね。
大学生カップルのオーダーは、
「小倉トースト1皿」。以上!
お姉さんは「おひとりさまワンオーダーでお願いします。」とこれまたズバッと指摘しました。
・・・そうだよね。姉さん、世の中そういうもんだよね。
で、大学生カップルが、何をもう一品頼んだかというと、
「小倉トーストに、セットのコーヒーを付けてください。」
さすがにセットのコーヒーは、もう一品としてノーカウントでしょう。
「ドリンクを注文するなら、セット用以外のドリンクにしてください。」とお姉さん。
結局カップルは、セットドリンク以外の飲み物のなかで最安だった、お抹茶を注文。
お抹茶一服と、小倉トースト1皿を、2人で幸せそうに分け合っていました。
お会計の際、カップルの彼女のほうが、お財布を確認してひと言。
「あ、一万円札しかなーい」
「じゃあ、ここは彼女ちゃんが万札で払って、お金くずそうよ。」
一万円札でお会計を済ませ、2人は仲睦まじく店を去って行きました。
あんみつ屋のお姉さん、すごく強かったけど、このカップルもなかなかだったな。
※わかる人にはどこの店かすぐ分っちゃいそうなので、所々フェイクを入れています。