東京駅丸の内駅舎の中にある「東京ステーションホテル」。
日本で最も好アクセスな立地に、海外ドラマの世界のようなラグジュアリー空間が広がるホテルです。
大正時代(1915年)に開業し、丸の内駅舎の復原工事を経て、2012年10月に再開業。
創業100年を超えるクラシックホテルです。
今回、わが家の4人(私、夫、長男3歳、次男0歳)で1泊してきました。
小さな子供を連れて宿泊した感想、子連れ・ベビー連れ向けのサービスなどをご紹介します。
●この記事は2022年夏時点の情報です。
●記載した価格は全て税・サービス料込みです。
東京ステーションホテルはこんなホテル
東京ステーションホテルは、「ホテルメッツ」や「ホテルメトロポリタン」でおなじみ、JR東日本ホテルズ系列。
部屋数は全150室と小規模ながら、東京駅丸の内駅舎の端から端まで客室が並ぶ、全長335mの横にながーい構造。
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行幸通りから見た外観。
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ホテル3階。鏡かと疑いたくなるほど長い長い廊下。
設計は、ジョサイア・コンドルの弟子で「日本銀行本店本館」を手掛けた、辰野金吾(1854~1919)。
作家の川端康成や松本清張がよく泊まっていたことでも有名です。
駅舎の屋根裏空間のゲストラウンジ「アトリウム」でいただく、豪華な朝食ブッフェが人気。
南北の駅舎ドームに沿ってレイアウトされたドームサイドのお部屋や、2階建てのメゾネットのお部屋、行幸通りと皇居外苑をのぞむパレスビューのお部屋など、横長い駅舎の形を活かした、ユニークな客室があります。
大人気の「ドームサイド」に泊まってみたら、意外な発見があった
今回は、ドームサイドの客室のひとつ「ドームサイドスーペリアツイン」(44㎡)に宿泊しました。
駅舎復原工事の目玉である「南北のドーム」に沿ってレイアウトされた客室のひとつです。
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客室レイアウト。ドーム沿いにぐるっと客室が並んでる。
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客室の窓から見た北ドームの天井。
3階に位置しており、ドームのレリーフを間近に見ることができます。
有名な干支のレリーフや、秀吉のカブトを探すのが楽しい!
双眼鏡持って来ればよかったな。
ドームといえば、真下の丸の内改札口を観察するのもお約束。
通勤ラッシュの時間帯に、オフィス街へ向かう人の流れを見下ろして、ニヤニヤして過ごしました。
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「みんなお仕事がんばって〜!」とか言いたくなる。
(窓の向かい側にも客室があるので、四六時中カーテンを開けておくことは出来ません。
実際は、チラッとカーテンを開けて、外をのぞき見ていました。)
この部屋から改札口を見下ろすと、
目と鼻の先に「駅の改札口」という日常空間が広がっているのに、自分はパジャマにボサボサ頭で部屋の中にいるという、
ある意味パラレル・ワールドな体験が出来ます。
実際に泊まってみるまでは考えもしなかった発見もありました。
ドームサイドの客室は自然光がほとんど入って来ないのです。
窓が屋外に面していないので、外の光はドームの天井付近から間接的に入ってくるだけ。
そして、ドーム内部は夜も照明やデジタルサイネージが明々と灯っており、まるで昼間のように明るい。
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ドーム内は照明とか電光掲示板とか、人工的な光があふれてる。
長期連泊すると、体内時計が参ってしまいそうです。
まぁ、背伸びしてやっと1泊している庶民の自分にはいらぬ心配ですが。
そんな環境のお部屋なので、明け方に次男(0歳)に起こされ、ふと窓の外に目をやると、
外はまだ暗いはずなのに、ドームの中は煌々と明るくて、人通りもそれなりにあって。
「あれ!?今、いったい何時なんだ?!」
と焦ってしまいました。
やっぱりこの部屋はパラレル・ワールドにつながってる・・・!?
ちなみに、ドームサイドルームに泊まらなくても、宿泊客なら誰でも入れる「アーカイブバルコニー」にて、ドーム内部の眺望を楽しむことができます。
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アーカイブバルコニー
客室内部はヨーロピアン・クラシックなキラキラ空間
今回宿泊した部屋は44㎡。
客室の形が変則的かつ、バスルームやトランクルームが広めなので、部屋面積のわりに足のふみ場が少なめな印象でした。
(今回はベビーベッドを部屋に入れてもらったので、そのせいもあります)
とはいえ、天井の高さが3.9mもあるので、せま苦しい感覚はまったくありません。
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ライティングデスクの上の鏡がステキ。
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天井高い!壁紙おしゃれ!!
インテリアは、海外ドラマのNYセレブのおうちのような、キラキラ空間。
内装はイギリスの会社(フォーシーズンズやリッツ・カールトンも手掛けてるらしい)によるデザインで、ヨーロピアン・クラシックがベースになっています。
キラキラ系でありつつ、落ち着いた色使いで、駅舎のドーム内部の装飾にみごとにマッチしていました。
うちには乳幼児がいるので、おしゃれなカフェとか、おしゃれなレストランとか、行きたくても行けなくてもんもんとしていたので、
「こんなキラキラでオシャレな部屋で一晩過ごせるなんて!!」と感動もひとしおでした。
子連れ向けのサービスやアメニティ
今回は0歳の次男用にベビーベッドをリクエストしました。
(ベビーベッドの貸し出し対象は12ヶ月未満。料金は無料。)
ベビーベッドは40平米以上の客室のみ、設置が可能です。
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ベビーベッドは要予約。子供の落下対策に、ベッドガードの貸し出しや、ベッドの壁付けも可能。
子供の添い寝は12歳以下無料(4歳以上は朝食代別途)。
添い寝はベッド1台につき1名まで。
ダブルベッドのお部屋では1名しか添い寝できないので、子供2人連れはツインルーム一択です。
部屋タイプにもよりますが、ベッドの壁寄せやベッドガードの設置が可能です。
今回宿泊したツインのお部屋は、ベッド幅120cmのセミダブルサイズでした。
3歳児との添い寝は平気でしたが、小学生との添い寝はちょっと厳しいかもしれません。
このほかに、子供用にオムツ用ゴミ箱や踏み台、スリッパ、歯ブラシ、コップ、パジャマなどがありました。
パジャマは大人用・子供用ともに、ズボンなしのワンピースタイプです。
コップは新幹線の絵がプリントされており、お持ち帰りOK。
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バスルーム。大理石ピッカピカ!
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新幹線のコップ。わが家の3歳児に大好評でした。
お風呂は洗い場付き。湯船も広々としており、レインシャワーもあって快適でした。
クレンジング・化粧水・メイク落としは、個包装タイプでコーセーの雪肌精でした。
シャンプーやコンディショナーは、フランスのフレグランスブランドのもので、
東京ステーションホテルの“歴史の香り”をイメージしているそうです。
ボトルのラベルがさりげなく切符風なのも、駅のホテルらしさがあって素敵です。
大人気!アトリウムでの朝食ブッフェ
東京ステーションホテルの朝食ブッフェ会場は、駅舎のまんなか部分の屋根裏空間を活用したラウンジ「アトリウム」です。
「屋根裏」と言っても、94席の超広々空間です。
屋根の片側がガラス張りになっており、柔らかな朝日が差し込んできます。
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東京駅の屋根裏がこんなステキ空間だったとは驚き!
店内にはイス席とソファ席があります。
子供のハイチェアが使える席を希望したところ、店舗入口横の半個室的なスペースに案内していただけました。
ビュッフェコーナーから比較的近くて、とても便利な席でした。
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案内してもらったお席。4人がけテーブルが2つありました。
子供用のカトラリーや取り皿・マグカップもありました。
食器には電車の絵が描かれており、すごーく可愛かったです。こだわりがすごい。
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子供用の食器。カワイイけれど、落としたらぜったい割れるやつ。
子供用のハイチェアはベルトなしタイプでした。
朝食ブッフェのお値段は大人5,250円。4歳~12歳 2,625円、4歳未満 無料。
朝食とは思えないイイお値段だよ!!!
しかし、内容は評判どおりとっても豪華で、朝からお刺身やミニうな重、パティシエ特製のスイーツなどを楽しむことができました。
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和食の小鉢いろいろ。朝からお刺身も食べられる。
洋食はパンの種類が豊富で、サンドウィッチなどワンハンドで食べられるものもあり、子供の相手をしながらつまむのに便利でした。
和食メニューは、ご飯のお供系(明太子、梅干し、海苔など)がとんでもなく充実しており、ご飯を食べ過ぎてしまいました。
(白米もツヤツヤで最高だった!)
スイーツは、メロンのショートケーキがふわっふわで絶品。
口の中に入れると、ケーキがシュワッと溶けるので、きっとカロリーゼロです。
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至福のショートケーキ。おかわりしちゃいました。
お料理は全て小皿に盛り付けてあり、感染症対策の面で安心感がありましたし、見た目もキレイで、目にも美味しかったです。
ドリンクは、コーヒーや紅茶のほか、カフェラテやエスプレッソもあります。
東京ステーションホテルの朝食ブッフェは、宿泊客限定ですが、平日の特定日だけ、1日10名限定で、外来での利用が可能です。
朝食だけでも利用してみる価値ありありです!
お弁当のテイクアウト&ルームサービスを利用してみた
ホテル内は、未就学児連れで利用できるレストランが「ロビーラウンジ」のみ。
ロビーラウンジでも夕食の提供はありますが、キッシュやサンドウィッチなどのオシャレ軽食メニューなので、3歳児の長男にはちょっと厳しいかな・・・
ということで、今回は「バー&カフェ カメリア」のテイクアウト弁当を利用しました。
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ホテル2階「バー&カフェカメリア」。昔から多くの文化人に愛されてきた名物バー。
「和牛贅沢BENTO」(1,980円)と「黒毛和牛サーロインステーキBENTO」(3,280円)のほか、
バーテンダーの作りたてドリンクをお持ち帰りできる「シーリングドリンク」なるものを買ってみました。
ノンアルコールカクテルが1,300円、アルコールカクテルが1,500円です。
ぱっと見おしゃれだけど、この容器で外で飲んでたら若干カップ酒ぽいかも?
「オランジュショコラ×アールグレイティー」という奇妙な組み合わせのノンアルカクテルをいただきましたが、とても飲みやすく、美味しかったです。
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テイクアウト弁当とシーリングドリンク。
お弁当は、どちらも肉がモリモリで、満足度が高かったです。
和牛贅沢BENTOはひとくちステーキ(ハラミ?)とハンバーグが入っており、ひとくちステーキのお肉が柔らかくて絶品でした。
サーロインステーキBENTOのお肉も美味しかったですが、この価格と内容なら和牛贅沢BENTOのほうがコスパが良い気がします。
長男(3歳)には、以前から食べたがっていた、北陸新幹線をかたどった駅弁を購入。
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容器がかなりリアル。ドクターイエローのお弁当もありました。
駅ナカのグランスタ(駅弁屋 祭)にて1,350円でした。
内容は、おにぎり、ウインナー、エビフライ、プチシュークリームなど。
おかずが紙のお皿の上にのった状態で詰めてあるので、容器はキレイなまま持ち帰れます。
今回は一応記念日旅行なので、ホテルのルームサービスでケーキもオーダーしてみました。
ニューヨークチーズケーキ(1,700円)なり。
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ルームサービスのニューヨークチーズケーキ。
結構大きめサイズ(市販のバター1箱分くらい)で、フルーツがたっぷりのっていました。
ルームサービスメニューは、お部屋のテレビ画面で閲覧できます。
ホテル特製ビーフシチュー(4,500円)、東京ビーフ極上カルビ焼きピクルス添え(サラダ、スープ、ライス、コーヒー、プリン付き)(4,700円)、お子さまプレート(スープ、ハンバーグプレート、デザート、ジュース)(3,800円)などがありました。
ルームサービスで夕食を済ませるとしたら、大人1人あたり5,000円くらいですね。
ルームサービス朝食は、アメリカン ブレックファスト5,400円、和朝食5,800円です。
館内施設や周辺のお店
ホテル内には、前述の「アーカイブバルコニー」のほか、ながーい廊下に東京駅の歴史を伝えるポスターや写真が展示されていたり、丸の内中央口がのぞける吹き抜けがあったりと、東京駅ならではの体験ができる仕掛けがあちらこちらにあります。
特に印象的だったのは、廊下に飾られていた、復原工事前の八角屋根だったころの駅舎の写真。
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ひと昔前の丸の内駅舎。ドームじゃなくて八角屋根、しかも2階建だった。
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駅前広場に設置されている解説板。
復原工事前の丸の内駅舎のドーム屋根は、戦争の空襲で被災してとりあえずの復旧がなされて以来、長いこと八角屋根でした。
(戦争が終わって元通りに直そうとしたものの、GHQに反対されたらしい。)
復原工事が終わってはや10年。もうすっかりドーム屋根がおなじみになって、八角屋根だったことを忘れていました。
完成直後は記念Suicaが発売されて盛り上がりましたよね。
今回の復原工事で、ホテルに地下階が新設されたのですが、
地下には会員制スポーツクラブ「フィットネスラウンジ ザ・ジェクサー・トーキョウ」があります。
宿泊客は1,000円で利用可能。
バス&リラクシングの利用は別途2,000円です。
利用したかったのですが、日・祝日は営業時間が短くて時間が合いませんでした。
(オフィス街のジムだから仕方ないね・・・)
地味に不便だったのが、「ホテル周辺のコンビニ探し」です。
東京駅の丸の内側は、景観重視のためか、コンビニの路面店がほとんど見当たりません。
(オフィスビルの中にはあるのですが・・・)
結局、KITTEの地下1階、「東京シティアイ」のお隣のローソンを利用しました。
ホテルのメインエントランスを出て、丸の内南口すぐそばのエレベーターを降りると、すんなりアクセス出来ます。
ちなみにホテルのメインエントランスは、丸の内南口(南ドーム)と丸の内中央口の中間にあるのですが、
私たちが泊まった部屋は丸の内北口(北ドーム)側だったので、北口側の「宿泊専用エントランス」が最寄りの出入り口でした。
うっとりするほど美しい、ピッカピカの白亜のエントランスなのですが、
階段があるのでベビーカーでは利用しにくく、結局メインエントランスまではるばる歩いて出入りしてました。
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真っ白で美しい、北口側エントランス。階段なので赤ちゃん連れには少々不便。
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メインエントランスは南ドームと中央口の間にある。
ホテルが横にながーいので、出たり入ったりが地味に大変です。
これも東京駅に泊まるからこその貴重な経験ですね(笑)
おわりに
いかがでしたでしょうか。
今回は「日本クラシックホテルの会」の「クラシックホテルパスポート」のスタンプ収集目当てで宿泊したのですが、
これまで泊まってきた他のクラシックホテルが「外観も中身もクラシック」だったのに対し、東京ステーションホテルは「外観はクラシックだけど、中身はピッカピカの現代風」でした。
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ホテル内のどこもかしこもピカピカのオシャレ空間。
もちろん、丸の内駅舎の赤レンガの外観にマッチする上品な内装ではあるのですが、
「現代人の感覚で、現代の東京に合うように、ほんの10年前に作ったばっかり!」というのは、やっぱり「日本クラシックホテルの会」ホテルの中では異色の存在のように感じられました。
しかし、これだけの交通の要所、しかも皇居前という、「日本の顔」みたいな場所ですから、復原工事を機に、その時代の最高にカッコいいスタイルで再出発するというのが、このホテルにあったやり方だったのだと思います。
今回泊まったドームサイドのお部屋以外にも、さまざまな客室があるので、次回は別のタイプのお部屋に泊まってみたいです。
【参考文献】
・「進化する東京駅ー街づくりからエキナカ開発までー」野﨑哲夫 成山堂書店
・「昭和の品格 クラシックホテルの秘密」山口由美 新潮社