ただの帰省じゃない、冒険の旅だ!パパと幼児の2人旅のススメ
先日所用により、夫が息子(1歳8ヶ月)を連れて父子2人っきりで帰省してきました。行き先は九州にある夫の実家で、2泊3日の飛行機の旅です。
神奈川県に暮らすわが家から夫の九州の実家までは、電車と飛行機で3時間超の道のりです。
うちは夫婦双方の実家が飛行機の距離で、私が息子を連れて母子2人きりで帰省したことはこれまで何度もありました(過去の記事参照)。しかし、父と息子の2人だけで帰省するのは今回が初めてです。
コロナ禍で在宅勤務中の夫は、日頃から積極的に息子の世話をしていますし、息子もパパのことが大好きです。それでも私は、「パパと息子の2人だけで帰省出来るのはもうちょっと先かな」と思っていたので、嬉しいやら心配やら、ちょっと複雑な気持ちで送り出しました。
なんだかんだで、病気もケガも乗り遅れもなく無事に帰ってきましたが、飛行機移動も実家で2泊過ごすのも結構大変で、夫はかなりどっぷり疲れたようです。
それでも、夫としては「また子供と2人きりで帰省してもいいと思う」「チャレンジや冒険だと思えば、困難な状況も楽しめた」とのこと。せっかくなので、具体的にどういうことが大変だったのか、今回の経験をとおして何か新しい発見や心境の変化があったのか、夫に聞いたことをまとめてみました。
この記事を読んでいる「パパが子連れで帰省している間に、羽を伸ばしたいママ」と「小さな子供連れで帰省するやる気と男気があるパパ」にとって、少しでも参考になればと思います。
子供とのお出かけの荷造りは、意外と奥が深い。
今回の旅の手荷物は、夫がひとりでパッキングしました。約3ヶ月前にママと息子の2人で飛行機に乗った時に作成した手荷物リストを参考にしつつ、足りないものや不要なものは適宜アレンジしながら準備を進めていきました。
わが家ではこれまで、子連れで出かける際の荷物は全て私(ママ)の独断でパッキングしていました。そのため、今回夫が荷造りする様子を見ながらママ目線であれこれ口を出したくなりましたが、そこはぐっと我慢。
荷造りに関しては極力「パパから質問されたことにだけ答える」というスタンスを貫きました。
夫いわく、パパと息子の2人っきりで、こんなに長時間外出するのは初めてなので、「道中でどんなお世話が必要で、何が必要になるのか」イメージするのが難しかったそうです。
例えば「子供は移動中に吐いたり漏らしたりするから、着替えが必要」なことは誰でも分かります。でも、実際は着替えだけでなく、汚れた服を入れるビニール袋も必要だってことは、これまでの経験と知識を動員して自分の頭で考えなければ分からないですよね。
「とりあえずビニール袋は持っとけ!」とママに言われるがままカバンに詰めたとしても、それをどんな場面で使うのかパパ自身が理解していなければ、カバンの中の取り出しにくい場所に入れちゃったり、そもそもどこに入れたのか忘れちゃったりして、いざという時に役に立たない。
「旅行中に起きるイベントを予想し、それに対応できるように荷物を準備し、実際に旅に出てみる。」この、意外と奥が深い「子連れ旅の荷造り」にまつわる3段階を、全てパパひとりでやり遂げたことは、夫の子育てスキル向上に大きく役立ったようです。
飛行機で一番大変だったのはニョロニョロ!?
夫によると、飛行機での移動に関して最も大変だったのは、息子がフライト中に少しもじっとしておらず、ニョロニョロと動き回っていたこと。通路や座席の足もとへニョロニョロと移動していく息子を何度も何度も連れ戻すうちに、すっかり体力を消耗してしまったそうです。
これ、私も経験あるんですが、膝の上に抱っこしている息子がオモチャの「じゃれっこモーラー」(イタチのしっぽみたいな物体が、転がるボールを延々と追いかけ回すやつ)のごとくひたすら動き続けるんです。赤ちゃんの時はもっと大人しく座ってくれたんだけどなぁ。
大人2人+子供1人で搭乗する時は、2人分の座席スペースが使えるのでまだ何とかなるんですが、1人分のスペースでやりくりするのは結構大変です。カバンの中からちょっと荷物を取り出すだけでもひと苦労。隣が空席だとラッキーなのですが、新型コロナの影響で減便されていることから、今回は行き・帰りともほぼ満席だったそうです。
子供と一緒だと、何をするにも時間がかかることを改めて実感
大人だけで国内線に乗るなら、出発時刻の1時間前に空港に着いていれば全然余裕ですが、小さな子供と一緒だとそうはいかない。
これまで、私・夫・息子の3人組で何度も飛行機に乗りましたし、一度は海外旅行も経験したので、子連れで行動するのに何かと時間がかかることは夫も十分承知していました。ただ、移動中のタイムスケジュールは、ママである私がほぼ100パーセント管理していました。
今回、「自分で時間を逆算しながら、子連れで行動する」というのは、夫にとって初めての経験だったので、思った以上に頭を使うことに驚いたそうです。
子供と一緒だと、ただオムツを替えるだけ、ベビーカーに乗せるだけでも、とんでもなく時間がかかっちゃう時ってありますよね。しかも、旅行での移動中は時間の制約もあるし、本当に難しいです。
パパ旅ならではの大変さもある
空港って、授乳室やオムツ交換台などの子連れ向けの設備が充実していますよね。でも、パパ目線で見ると、ちょっと使いづらいと感じる点もあるようです。
まずひとつめは、「男子トイレのオムツ交換台設置率が低過ぎる!」
これは空港に限らず、日本社会全体の課題です。ママ目線から言わせてもらうと「この施設は、赤ちゃんのオムツはママが替えるものだから、男子トイレにオムツ交換台は必要ないって思ってるのかなぁ〜?」なんて苛立ちを感じる案件ですが、パパと子供の2人きりでお出かけするとなると、ムカつくとかイラっとするとか以前に、死活問題なのです。
男子トイレにオムツ交換台がなければ、多目的トイレかベビールームを探すしかない。でも、広い空港の中で、小さな子供を連れてオムツ交換台を探し求めて歩き回るのってすごく非効率です。飛行機に乗るために空港に来ているわけだから、時間の制約だってあります。
オムツ交換に関してもうひとつ。「ベビールーム、男性だけでは利用しにくい!」
羽田空港のベビールームは、一度に3〜4組が使える広いところもあれば、1〜2組が限界の狭いところもあります。狭いタイプ(4畳くらいの広さ)の場合、室内の配置は、手前にオムツ交換用のベッドと調乳用の流し台、その奥にカーテンで仕切られた授乳スペース、というパターンがほとんどです。
もしも、狭いベビールームの授乳スペースをよそのママさんが使用中だった場合、後から来たパパがそのベビールームに入ってオムツを替えるのって、ちょいと気まずいです。「男性も利用できます」って張り紙はあるものの、カーテン1枚で区切られただけですから。
「男子トイレにオムツ交換台が無い、時間も無い!今、このベビールームでオムツ替えるしか方法がないんだよ!」ってシチュエーションに陥ると、なかなかツライと思います。せめて、カーテン1枚じゃなく、トイレのドアのようにしっかりした仕切りがあれば良いと思うのですが。
そして、飛行機の座席についても課題が。「子供を膝の上で抱っこしているとき、前の座席のシートが倒れてくると、とんでもなく狭い!」
私が子連れで飛行機に乗る時は、そんなに気になっていなかったのですが、やはり男性は女性よりも身体が大きい分、子供を抱っこしている状態で前のシートが倒れてきちゃうと、かなり窮屈に感じるようです。
うちの夫は大柄なほうではありませんし、今回の行きの飛行機は、通常のエコノミークラスより座席間隔が広めの「クラスJ」でしたが、それでも結構苦しかったとのこと。
さすがに前の人に「シート倒さないでください」なんて言えないので、現実的な対策としては、前に座席の無い席を確保するか、3歳未満の子供でも小児1人分の座席を購入するしか無いのかな。
(2021年3月現在、小児の席を有料で確保する場合、JALはチャイルドシートの持ち込み・貸し出しが可能。ANAは持ち込みのみ可能です。)
たまにしか帰らない実家は危険だらけ
これは夫の実家と私の実家に関する共通の悩みなのですが、家の中が危険だらけで、小さな子供と一緒に過ごすのがしんどい。
普段、うちの神奈川の自宅では、キッチンにはベビーゲート、リビングには物を置かない、など色々と安全対策をした上で生活しています。子供が怪我しないようにというよりかは、私がラクしたいから。四六時中子供を見張っているなんて無理ですもん。
でも実家に帰ると、赤ちゃんや幼児がぶつかったり飲み込んだりすると危ない物がそこらじゅうに転がっているのです。
両家にとってうちの息子が初孫なうえに、遠方で数ヶ月に1度しか帰省できないので、これはもう仕方のないことです。もし、近場にうちの子より年長の孫が住んでいたのなら、もう少し状況はマシだったかもしれませんが。
対小人要塞と化した自宅の環境に慣れていると、たま〜に実家に帰った時に、子供をずっと見守っていなければならないのが凄く疲れます。うちの夫も、今回初めてパパと息子だけで実家に泊まったことで、この点にストレスを感じたようです。
夫が特に危険だと感じたのは、手の届くところに置かれた処方薬や仏壇用のライター、ガラス製のキャビネットやテーブルだそうです。ガラスのテーブルは以前は1台だけだったのが、今回2台に増えていたそうです。まじか。
ケガなく無事に過ごせたので結果オーライですが、息子は床に置かれた猫の飲み水やら、CDケースやら、あれこれ荒らして実家に迷惑を掛けちゃったみたいです。
めったに帰省しない身で、実家にあれこれ注文を付けるわけにもいかないですが、せめて帰省前に、危ないものや触られると困るものは、子供の手が届かない場所に片付けておくよう声を掛けておくべきだったと思います。
小さな子供にとってどんな物が危ないのか、今うちの子はどのくらいの高さまで手が届くのか、といった情報や認識を共有しておくことも大事ですね。
自宅と環境が違って眠れない!?
うちの息子は、自宅にいる時はパパ・ママどちらの寝かしつけでも眠れますが、夫の実家では夜遅くまでなかなか寝付けなかったそうです。
普段、自宅では20時前には寝ているのですが、実家初日は24時ごろまで起きていたとか。自宅と異なる環境、しかも(息子にとっては)初めて会う大人たちに沢山遊んでもらい、楽しすぎて興奮しちゃったんでしょう。
せっかく眠ったら、そのまま朝までぐっすり寝て欲しい、というのが親心?ですが、夫の実家ではリビングの隣の部屋(ふすまを隔てただけ)に布団を敷いて寝ていたので、リビングから聞こえてくる話し声や、テレビの音で息子が起きやしないか、ヒヤヒヤしたそうです。
自宅にいる時は子供が目を覚まさないよう、夜間はテレビの音量をかなり小さくしていますし、狭いマンション暮らしなので、夜は出来るだけ静かに過ごすのが当たり前の生活なので、戸建暮らしの夫の実家とは生活音に対する感覚に多少ギャップがあるようです。(私の実家も田舎の戸建なので、テレビの音量と両親の足音に毎回ビビっています。)
とは言え、ホテルや旅館に泊まる時は、スイートじゃない限りワンルームで一家全員が過ごさなきゃならないので、それに比べれば全然恵まれた環境ですけどね。
ちなみに、夫の実家のカーテンが遮光タイプではないため、「朝日が入って来て子供が早く起きてしまうのでは」と懸念したそうですが、夜遅くまで寝なかった息子は、その分朝は8時まで爆睡していたそうです。結局なるようになるので、あまり気にし過ぎないほうが良いですね。
離れて暮らすじじ・ばばに子守りを手伝ってもらうことについて
夫は、今回の実家滞在の全体的な感想として、「自宅とは異なるアウェイの環境下でワンオペ育児をやるのが大変だった」と言っていました。
実は今回の帰省の前に、パパと息子の2人っきりで、自宅で24時間過ごす練習をしていました(ママはホテル泊)。夫いわく、この時より今回の帰省のほうが2倍は疲れたそうです。
自宅ですと、危ないものはあらかじめ片付けてあるし、お世話用品はぜんぶ所定の場所に揃ってる。何より子供も慣れた環境なので落ち着いて過ごせますもんね。
「アウェイはともかく、じじ・ばばの手が借りられるから、ワンオペじゃないでしょ」と思われるかもしれませんが、わが家の場合、自宅でパパ・ママ2人体制の育児が「社員2人」だとしたら、実家でパパ・じじ・ばば3人体制の育児は「社員1人+新人バイト2人」なので、ワンオペと呼んでも間違いではないと思います。
子供のお世話(例えば、ストローマグを組み立てて、中に飲み物を入れて飲ませるとか、ベビーフードを温めて食べさせるとか)って、0から10までぜんぶ説明する必要がある(しかもたまにしか会わないから、次回もまたゼロから)ので、じじ・ばばに頼むよりも自分でやったほうが早いし楽なんです。もはやワンオペ育児ママと同じ心の境地。
それだけでなく、息子の後追いが激しかったり、ご飯はパパが食べさせないと食べなかったりと、終始パパにべったりだったので、かわいい我が子とはいえ、夫にとっては結構しんどい2日間だったようです。
私の実家でも、全く同じ状況なので、このしんどさはよ〜く分かります。
じじ・ばばは子育てのレジェンドとして尊敬すべき存在ではあっても、20〜30年のブランクがあるのだから「子育ての即戦力として活躍出来る」とは思わないほうが良いです。たった数日の帰省だし「手伝ってもらえたらラッキー」「緊急時だけは助けてもらおう」くらいの心持ちがちょうど良い。
私自身、子供の頃はしょっちゅう、近所に住む祖父母に預けられていたので、自分が子供を持つ前は「じじ・ばばが孫の世話を手伝う」のは普通のことだと思っていました。
でも、今のわが家のように両実家から離れたところに住んでいると、日常的に子育ての協力が得られないだけでなく、たまに帰省したところで、やっぱりそれほど手伝ってもらえません。
それがツライとか損だとか思うこともありますが、たまに帰省した時にすごく喜んでもらえたり、子供を可愛がってくれたりといったことだけでも、十分恵まれているんだと思います。
じじ・ばばも、子供の世話はあまり出来ないとしても、駅や空港に迎えに来てくれたり、ご飯を作ってくれたり、彼らに出来ることで精一杯歓迎してくれていることを忘れちゃいけないな、と思います。
むしろ、たまに帰省した孫をめちゃくちゃ可愛がってもらえるのは、離れて暮らしているからこその特権かもしれません。
おわりに
いかがでしたでしょうか。大変だったことばかり語っているので、「やっぱり子供と2人っきりでの帰省はよそうかなぁ」と思われる方もいるかもしれません。
でも、うちの夫の言葉を借りれば、大変なことや困難なことも冒険だと思っちゃえば、そこに面白さも見出せます。チャレンジすることが好きな人や、旅でのハプニングが多いほうが燃えるタイプの人なんかは、むしろ新たな旅行のジャンルとして楽しめるんじゃないでしょうか。もちろん、おじいちゃん・おばあちゃんも喜びますしね。
普段の旅行や帰省とは違い、パパと子供の両方が大きく成長できるチャンスなので、「パパと子供2人っきりの帰省」は子供が小さいうちから行っておいて損はないです。かわいい夫と子には旅をさせちゃいましょう。